EAT(E-EAT・Bスポット療法)

EAT(E-EAT・Bスポット)療法

EAT(E-EAT・Bスポット)療法って何?

Bスポット療法(「B」は、Biinku(鼻咽腔)の頭文字)とは、鼻の奥と咽頭(のど)の境目にある上咽頭(別名:鼻咽腔)と呼ばれる部位の後上方(Bスポット)に消炎剤である塩化亜鉛を塗布する治療法のことを言います。
耳鼻咽喉科の先生達が、患者さんが「のどが痛い」と言われた時に捲綿子(けんめんし)でお薬をつける部位ではなく、それよりも少し上の部位(のどちんこの裏をイメージ。下の図を参照。)をBスポットと言います。

Bスポット

呼吸をすると必ず空気がこの上咽頭(鼻咽腔)と言われる部位を通るため、空気中にあるホコリや細菌、ウイルスの影響を受けやすい場所であり、さらには溜まり場となりやすいです。そのため、炎症を起こしやすい部分の一つになります。「喉が痛い」と感じる風邪の初期症状の際には上咽頭(鼻咽腔)が腫れているということが多々あります。

耳鼻咽喉科の中でも実はこの上咽頭(鼻咽腔)への治療を行うドクターは決して多いとは言えません。さらに言えば、耳鼻科医以外では上咽頭(鼻咽腔)は確認が難しい場所であるため、内科や小児科ではほとんど治療をされてこなかったのが現状です。
多くの方が風邪のひき始めで「のどがイガイガする」などの症状を感じた場合、この上咽頭に炎症が起こっている可能性があります。「喉に痛みを感じる時」、「喉に違和感を感じる時」、「風邪をひいたかもしれないと思った時」には上咽頭(鼻咽腔)を治療すること【EAT(E-EAT・Bスポット)療法を行うこと】で風邪の治りが早くなったり、風邪を悪化させないといった効果が期待できます。

※この治療は、従来はBスポット療法と呼ばれていましたが、近年EAT(イート:Epipharyngeal Abrasive Therapy、上咽頭擦過治療)と日本病巣疾患研究会で呼称をEAT(イート)に統一されることとなりました。Bスポット療法と呼ぶドクターもいれば、EATと呼ぶドクターもいますが、両方とも同じ治療法になります。また、当ページでE-EAT(イーイート)と記載がありますが、こちらも同じ治療法ではありますが、簡単に申し上げると、内視鏡を使用してEAT(Bスポット療法)を行うことをE-EAT(イーイート:内視鏡的上咽頭擦過治療)と呼びます。

EAT(E-EAT・Bスポット)療法の方法としては、通常の上咽頭処置と異なり、綿棒に塩化亜鉛を染み込ませ、鼻と口の両方から上咽頭に十分に塗布します。炎症を起こしている部分にお薬を塗布するので正直に申し上げると「かなり痛い」と感じられると思います。しかし、お薬が炎症を起こしている部位に塗られている証拠となるのがその「痛み」になります。「痛い」とおっしゃった患者さん程調子がよくなる傾向にあります。

当院でEAT(E-EAT・Bスポット)療法を行う際には、必ず最初は電子内視鏡で画像強調をかけて局所の所見を把握します(例:NBIなど)。炎症の状況を確認し、炎症が起こっている局所にしっかりと塩化亜鉛を塗布するように心掛けています。

上咽頭(鼻咽腔)にお薬を塗布した(EAT(E-EAT・Bスポット)を行った)後は、Bスポットの部位(上咽頭)はヒリヒリとした感じが数時間残りますが、時間が経つにつれて徐々にそのヒリヒリ感も治まり、その後は段々とすっきりと症状が改善します。最低でも数回は治療が必要です。治療期間(必要な回数)には個人差があります。

上咽頭(鼻咽腔)の局部のみの治療がEAT(E-EAT・Bスポット)療法になりますので、乳幼児から大人の方まで、また、妊娠中の方や授乳中の方でも安心して受けていただける治療法です。ただ、患者さんの協力が必要なので小さいお子さんには難しいかもしれません。

人間の免疫機能のポイントだと言われているBスポットは、この療法を行うことで、のど風邪以外の様々な症状、疾患の改善・効果が報告されています。

EAT(E-EAT・Bスポット)療法の効果

<局所(鼻・のどの症状)>

  • のど風邪(咽頭炎)
  • 後鼻漏(鼻水が喉の奥に流れていく症状)
  • 鼻やのどの痛み
  • 鼻やのどの違和感
  • アレルギー性鼻炎

<局所以外>

※上記以外にも、IgA腎症、掌蹠膿疱症、ぜんそく、めまいや耳鳴、頭痛を伴う肩こり、片頭痛、などにも効果があるという報告あり

EAT(E-EAT・Bスポット)療法の受けていただく際の注意点

  • 1~2週間に1回の通院をしていただくことが基本的な治療頻度の目安になります。
  • 「炎症が強い」程ヒリヒリ感を強く感じますし、痛みが持続します。ヒリヒリとした痛みを感じるという理由で治療を止めるのではなく、痛みを強く感じる程炎症が強いため、治療【EAT(E-EAT・Bスポット)療法】を継続していこうと思っていただいたほうが良いです。お薬をBスポット(上咽頭)に塗布して炎症が治まってきている場合は、ヒリヒリとした痛みが和らいてきます。
  • お薬を塗布した(治療)後少しの間(数時間程度)は、場合によっては、血の混じった鼻水や痰が出たり、つばに血が混ざり、つばがピンク色になったりすることがありますが心配はありません。
  • まれに一時的にではありますが、治療後に治療をする前より症状が強くなったり、頭痛がしたり、アトピーなど皮膚症状が悪くなるということが起こることもありますが、その後に改善していくことが多いです。漢方の瞑眩(めんげん:好転反応)に近いです。
  • EAT(E-EAT・Bスポット)療法に関しては、特殊な治療とお考えいただくとよいでしょう。飲み薬やネブライザー治療など今まで治療を受けられていて改善が思わしくない時に併用していただくと効果がある人が多いです。

※当院ではEAT(Bスポット)療法またはE-EAT療法を行います。