ダニ(ハウスダスト)アレルギーに対する舌下免疫療法
季節性アレルギー性鼻炎と通年性アレルギー性鼻炎
季節性アレルギー性鼻炎と言われるのは、スギ花粉やイネ科、ブタクサなどの花粉が原因で症状が出るものです。皆様がよく耳にされる“花粉症”は、季節性アレルギー性鼻炎のことを指します。
特定の季節(花粉が飛散する時期のみ)になると、くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどのアレルギー症状は症状が現れます。
それとは別に「通年性アレルギー性鼻炎」といわれるものがあり、花粉症などの季節性アレルギー性鼻炎の症状と同じですが、特徴としては、1年中季節に関係なく症状が現れます。
季節性アレルギー性鼻炎の主な原因は花粉ですが、通年性アレルギー性鼻炎の主な原因(アレルゲン)は、ダニ(死骸や糞)やホコリ、カビなどのハウスダストです。日本人の多くの方(約4人に1人)が通年性アレルギー性鼻炎と言われています。
スギ花粉症がアレルギー性鼻炎で最も有名ですが、上記のようにダニ(ハウスダスト)によるアレルギー性鼻炎に悩まされる方も多くいらっしゃいます。花粉が飛散する時期に症状が現れるスギ花粉症と異なり、ダニ(ハウスダスト)によるアレルギー性鼻炎は1年を通して症状が現れ、お子様においては眼のかゆみに悩まされる場合がしばしばあるようです。
通年性アレルギー性鼻炎の症状
◆鼻の症状
・くしゃみ・鼻水・鼻づまり・鼻のかゆみ
◆眼の症状
・眼のかゆみ・充血・涙目・結膜炎
◆その他の症状
・皮膚のかゆみ・のどのかゆみ・喘息の悪化(咳や痰、喘鳴、息苦しさ)
通年性アレルギー性鼻炎の治療法の舌下免疫療法とは・・・
季節性アレルギー性鼻炎のスギ花粉に対する治療法として、「舌下免疫療法」という治療法が保険適用になったことに続き、2015年にダニ(ハウスダスト)が原因である通年性アレルギー性鼻炎の治療法としての舌下免疫療法も保険適用となりました。
ダニ(ハウスダスト)に対する舌下免疫療法は、アレルギー反応を引き起こすダニなどのアレルゲン成分を体内に少しずつ入れることで体を慣らし、過剰反応を抑えて症状が出ないようにしていく治療法です。
(花粉症の方は、「スギ舌下免疫療法」の説明もご参照下さい。)
ダニ(ハウスダスト)に対する舌下免疫療法の方法
① 1日1回、錠剤を舌の裏(舌下)に置き、そのまま1~2分保持してから飲み込みます。
※その後、5分間はうがい、飲食はできませんのでご注意ください。
② ①を毎日繰り返し行っていきます。ダニアレルゲンを身体に慣れさせていきます。
③ 初回投与は当院で行います(予約制)。投与後30分は医院内にいていただき、副作用等の確認をさせていただきます。
安全性確保のためご了承ください。
④ 2日目以降はご自宅で服用いただきます。始めは成分量が少ない治療薬から服用を開始していただき、
一定期間後、成分量を増やした錠剤を服用していただきますが、数年間(最低でも3年)にわたり継続服用していただきます。
服用していただいている期間は定期的な診察を行うため、1か月に1度の頻度で当院を受診していただきます。
なお、ダニ(ハウスダスト)の舌下免疫療法の開始は、安全性の観点から当院ではスギ花粉舌下免疫療法と同様6月1日からとさせていただいております。
※スギやヒノキの花粉症を併発されている方は、それらの飛散時期を避けてダニ舌下免疫療法を開始されることをお勧めいたします。
※アレルギー性鼻炎の原因となるアレルゲンは、血液検査(採血)にて調べることができますのでご希望の方はご相談ください。
ダニ(ハウスダスト)に対する舌下免疫療法の期待できる効果
正しい治療を長期にわたって行う(最低でも3年)ことで、アレルギー性鼻炎の症状(くしゃみ、鼻水、鼻づまり)が治ったり、長期間症状を抑える、あるいは軽減されることが期待できます。舌下免疫療法は、開始後すぐに効果の現れる治療ではありませんので、根気よく継続治療を行っていきましょう。
個々人によって効果の出る具合は違いますが、完全に症状が抑えられない場合でも、症状を和らげ、アレルギー治療薬の減量が期待できます。
また、ダニ(ハウスダスト)以外のアレルギー性鼻炎に対する効果につきましては、残念ながらそれ以外(ダニ・ハウスダスト以外)を原因とするアレルギー性鼻炎には効果がありません。
ダニ(ハウスダスト)に対する舌下免疫療法は何歳から治療可能?
1分間舌の裏で錠剤を保持できるお子様であれば治療可能です。(保険適用)。ご希望の方はご相談ください。
以下のいずれかがあてはまる方は治療を受けることができません。予約を受付けておりません。
□アレルギー性鼻炎の原因がダニではない方
□アレルゲンを使った治療や検査によってアレルギー症状を起こしたことのある方
□重い気管支喘息の方
□悪性腫瘍(がん)や、免疫系の病気がある方
□高血圧症の方
以下のいずれかがあてはまる方は治療に際して注意が必要です。
□ 気管支喘息の方
□ 妊婦の方、授乳中の方
□ 抜歯後や口の中の術後、または口の中に傷や炎症のある方
□ 重症の心疾患、肺疾患及び高血圧症がある方
□ 他の減感作療法薬を受けている方
□ 他に服用中のお薬がある方(非選択的β遮断薬、三環系抗うつ薬、モノアミンオキシダーゼ阻害薬(MAOⅠ)など)
□ 全身ステロイド薬の投与を受けている方
□ ダニ以外のアレルゲンに対しても反応性が高い方
副作用がある治療法であることをご理解ください。
以下に記載する副作用は、少なくとも服用後30分以内、または服用開始初期(始めたばかりの時期)によく見られる傾向があります。
発症当日は経過を観察し、症状が治まらない場合は必ず翌日受診してください。
□口腔内もしくは唇のかゆみ・浮腫・感覚異常
□のどの刺激感、不快感
□耳のかゆみ など
また、下記のような重篤な副作用が見られた場合は直ちに救急車を要請するなど、迅速な対応をしてください。
□皮膚の症状
蕁麻疹、そう痒感、紅斑・皮膚の発赤などが全身に現れる
□消化器の症状
胃痛、吐き気、嘔吐、下痢など
□眼の症状
視覚異常、視野の狭窄など
□呼吸器の症状
鼻がつまる、くしゃみ、声がかれる、のどのそう痒感、胸のしめつけ感、呼吸困難、咳、呼吸の音がゼーゼー・ヒューヒューする、チアノーゼなど
□循環器の症状
頻脈、不整脈、血圧低下(ふらつきやめまい)など
□神経の症状
不安、恐怖感、意識の混濁など
※赤字は特に緊急性が高い症状です。ご家族の方も注意してください。
※症状が現れればすぐに医師・看護師にご相談ください。